最高の「お疲れ様」
先日駅で最高の「お疲れ様」を見た。
駅のスタバへ行くために、車を駐めて駅構内に入って行くと、
同じように20代後半のGパンの男の人が、
改札の方に向かって歩いて行く。
と思ったら、前方に何かを見て軽く柱に隠れるので、
「何?」と気になってその方向を見ると、
髪の長い、淡い色のコートの女の人が、
スマホを見ながらうつむいてこちらへ歩いて来る。
そーかと私が察すると同時に、
柱からひょっと顔を出した男の人が「お帰り。お疲れ様。」
って嬉しそうな笑顔。
若いって素晴らしい。まるでCMだ。
若い頃の話なら、私だって愛され武勇伝のネタには事欠かない。
しかし、実際今となってはそうはいかない。
必死の子育て期間が終わると、「男女のサガの違い研究会」だ。
まず、その口論が男女のサガの違いによるものだと気付いて
やっと修行が始まる。
それまでに数年かかる。
昨日のことだ。かかりつけの鍼の先生にいい話を聞いた。
このご時世、共働きの先生のお宅の夕食はワタミのお弁当にしているとのこと。
栄養バランスが良く、美味しいとのこと。
団塊世代の男性がよし、と認めるんだ。
うちもいける、そうしよう。やったー!やったぜ!
主人は家の近くでガソリンスタンドをしているので、昼食も帰って来る。
自粛で外食もない。
私も自営で学習塾をやっていて、この昼食、仕事、夕食が、ハッキリ言
ってしんどくなっていた。怠け者なんで。
夜。切り出す。
リビングでキッチンに背を向けてゲームをしている主人に。
返事は即答で「なんで」。これはクエスチョンではない。
私の地方では、語尾を強めて発音する。抗議だ。
意外だった。
主人は分からず屋の部類ではあるけど、家事には熱心に(神経質に)
協力してくれる。
そのあとは、理由にならない何かを並べていた。
今、又吉直樹さんの小説を読んでいるんだけど
あんな風に上手く、主人のこの感情を表現できたらいい。
私は了解した。
あっさり了解して、いつものようにスネもしない私に
主人は「あれ、今日はポジティブだね」と言った。
主人が、私の食事でなきゃ嫌だと言いたくて言えないのが伝わってきて、
かえって嬉しくて可愛かった。
昼食の時、ユニフォーム姿で、かつ丼をむさぼり食う、
キッチンに向けたその背中が「うめー、」と物語っている。
お互い、いろんな鎧をぬいで、そっと寄り添いあえる年寄りになりましょう。
さあ、今日はおでんにしようかな。仕込みにとりかかりましょう。