アリもキリギリスも
主人とドライブをしながら、小田さんのDVDを見た。ゲストで出てきた財津和夫さんの名曲『不思議な黄色い靴』を二人でハモっていた。
休憩で入ったカフェで、「あの曲聴くと高校の文化祭思い出すんだよね。」と、主人がしみじみ話し出した。
文化祭のクラスの出し物を何にするか、話し合いが煮詰まっていた。彼は助け舟のつもりで、自分が趣味で取り組んでいた、コンピューターのプログラミングで『テトリス』っぽいゲームを作っているから展示したらどうか、と提案した。43年前だ。プログラミングなどできるのはほんの一部の“オタク”だけだったが、全員一致で、彼の案に決定した。
最初こそ数人は手伝ってくれたが、提案者の彼はB紙に説明文を書いたりで、連日徹夜で文化祭になんとか間に合わせた。
ところが彼のクラスの展示は蓋を開けたら人気度最下位。票は『魔法の黄色い靴』を歌ったバンドチームに持って行かれた。それどころか、クラスメートも展示そっちのけでライブの方に行っていた。
最後は自分一人で展示物の撤収作業をした。苦い思い出だった。
「俺って、どこ行ってもそういう役まわりなんだよな。」
この地域は、毎年2月の寒い時に、大鏡餅を奉納する。地域で役を持っている主人は、世話役になる。餅をつくことが一種のお祭りで、1日がかりだ。片付けの頃には日も沈み、全員がお疲れさんでお酒が回っている。
そんななか、主人は一人冷たい水で道具を洗う。。。。容易に想像がつく。
主人は、イソップ童話の『アリとキリギリス』でいうなら、アリの中のアリ、という人だ。
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ドラマ『コントが始まる』を楽しみに見ている。
第3話 「奇跡の水」の有村架純の演技が素晴らしかった。
有村演じる里穂子が、妹と、解散が決まっているうだつの上がらないお笑い芸人『マクベス』の3人と一緒にたこ焼きを食べながらおしゃべりをしている。
ふと、里穂子が、精神的に追い込まれた1年半前の自分の状況を語り出す。言われたことは一生懸命やるタイプと自認する彼女に、理不尽な出来事が重なって、何がなんだかわからなくなったと。。。。
「。。。今でも、頑張るのが怖くて手を抜けるところは抜いてるんです。頑張って傷つくのが怖くて。。。でも何かを頑張ろうとする気持ちを恐れる日が来るなんて思ってもいなかったし、頑張らなくてもいい方を選択したこともなかったんで。。。」
イソップ童話『アリとキリギリス』では、勤勉であることを美徳としている。
冬に備えて懸命に働いたアリに対して、夏の間勝手気ままに過ごしたキリギリスは、冬に何も備えがなく、餓死という末路を辿る。
うだつの上がらない芸人『マクベス』の3人は、親達からしたら、キリギリスのようで将来が心配でたまらないだろう。本人達もそこに揺れ動く、微妙なアラサー世代だ。
イソップ童話では、キリギリス的生き方を真っ向から否定し、勤勉でないことを悪であるかのように子ども達に教え込むことに、今や違和感を感じる。
そのことは資本主義的価値観が見直され始め、新しい時代が来ていることの証だろうか。
逆に、
じゃあアリは、いつ楽しむの?と問いかけている本を読んだ。『DIE WITH ZERO』(持ち金を使い果たして死ぬ)経済学の本。
私は、これにも違和感を感じる。アリ的生き方だって、そんな単純なものではない。
ただ下だけ向いて餌を運んでいるわけではない。
哲学者 ミッシェル・フーコーが言った。
なぜ絵画や建物が芸術作品と言われ、私たちの人生はそうではないのでしょうか
個人の人生は、1つ1つ異なっていて美しく、いわば1個の芸術作品ではないでしょうか
誰の生き方も美しい。
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お礼
いつも、ブログにご訪問頂き、スター、ブックマーク、ありがとうございます。心から感謝いたします。この度おかげさまで300人以上の皆様に読者登録をいただきました。(因みに300人目娘が母の日のプレゼントに登録してくれました😅)
これからは、身体のことも考えながらのペースで、細くても長く、先輩方のペースを見習って進めていこうと思います。
これからも、ブログを学びの場として、またピースの合う仲間を探す旅として、愛していきたいと思います。
ありがとうございます。