悪く思ってごめんなさい。

 

先日アントニオ猪木さんの訃報が報じられた時、鍼の先生を思いました。先生は鍼治療と一緒に、温かいトークで心もほぐしてくださいます。

少し前に行った時に、まさにアントニオ猪木さんのお話を聞いたところでした。

 

先生は元プロの競輪選手で、全国を転戦していたそうです。デビューと同時に連勝していた中野浩一選手に土をつけて話題になったこともあると聞きました。

 

そんな頃移動の新幹線で、同じく試合会場の移動途中のアントニオ猪木さんと同じ号車になったことがあるそうです。思わず声をかけてしまった競輪選手達に対する猪木さんの態度を、身振り手振りを真似て語る先生は、その時本当に猪木さんに感動したんだなって伝わってきました。

握手を求めると嫌な顔ひとつせず、あえて左手を出してこられた猪木さんの右手に包帯が巻かれていることに気づき、先生が慌ててお邪魔したことを謝ると、競輪のプロ選手と知って逆にエールを送ってくださったそうです。

 

アントニオ猪木さんがバリバリの『燃える闘魂』だった頃のお話でした。

 

 



以前、『鬼コーチ』というタイトルで記事を書きました。

 

 

tenebo.hatenablog.com

 

猪木さんはまさに『鬼コーチ』と共に生きた方なのではないでしょうか。

 

猪木さんの『命式』です。

   ○        甲  癸

   ○      酉  寅  未

 

○は生まれ時間が不明ということです。

色をつけた漢字が日主と言って、本人の位置になります。

(つちのと)は、大地の意味です。猪木さんは大地が本質であるということです。

 

大地はさまざまな命を育みますが、特に植物との関係は相互に大事な関係になります。植物は土と水がなければ生きられませんし、土にとっては、植物の根が張っていることで安定します。

 

にとって=大樹や=草花を官星と言います。これを『鬼コーチ』と表現しました。

『鬼コーチ』は、地位、権利、義務、など堅いイメージの存在です。まず命式の中に『鬼コーチ』が存在するか、から始まって、自分との相性はどうなのか、その影響力の強さはどうなのか、それによって個性に関わってきます。

 

“〜すべき“に囚われやすい人は、この官星の存在が大きくのしかかっていたり、逆に地味な仕事でもコツコツ頑張れたりする場合は、官星との相性が良いのでしょう。自分に厳しかったり、自分を誇示しようとしたり、そういった個性の部分を官星が担っています。

 

猪木さんの『命式』に戻ると、で柱になっています。この部分でより自分に近い社会、仕事や人間関係を見ます。は大樹、はまさにの分身のようなエネルギータンクです。太いの柱は、の猪木さんにとって太い官星の柱になります。

 

を求めています。猪木さんが自分に厳しく、社会的な役割を全うすることに価値感を持っていたことがわかります。特に仕事面で発揮されるので、『燃える闘魂』を演じきることが仕事であり、自分の社会的役割だと強く思っていらしたのでしょう。

 

 

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さて、今回は『鬼コーチ』について、他のパターンにも触れてみます。

前回の記事で、ジャンケンの例え話をしてみました。

ジャンケンは勝つ相手と負ける相手があるから成り立ちます。

 

自分を鍛えるという意味では、負けではありませんが、勝つとわかってる立場からでは意味がないように思います。鍛錬とか、やたら金へんの漢字ですね。

五行では、金には(かのえ)=鉄、と(かのと)=宝石があります。これらが日主=自分の本質の人の場合、官星は火になります。火には(ひのえ)と(ひのと)があります。は太陽、は炎です。特にの人にとっての良い『鬼コーチ』は=炎です。鍛錬されそうですよね。=太陽では、暑くて無駄に鉄が変形するだけのようです。

 

他にも、=大樹の人にとって官星は、ですが、は斧みたいにスパッと木を切って材木にして社会の役に立つ素材に変えてくれそうです。でもだとそうは行かず、無駄に木の表面を傷つけられそうです。

 

四柱推命は、まずこの五行の10ある干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)の相互関係をとことん覚えるところから始めていくんです。ジャンケンで言うなら、自分はグー、チョキ、パー、の何なのかをまず知って、自分がグーなら、パーはどれとどれか、チョキはどれとどれか、みたいに。そして、勝つ相手が良くて、負ける相手が悪い訳ではないのです。

関係性を知ってから、関係性の質を探っていくところへと進めていきます。

 

まず日主を剋してくる官星との関係性の良し悪しを知ることは大事になってきます。

 

ブースに来られる相談者様でも、仕事にまつわる場合は、必ず官星が関わっています。

 

 

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最近、夢中で四柱推命を勉強していた時期から、ちょっと一段落して、なんだか少しイライラしてしまうのです。占い師的には、あくまで運気の流れで判断したいところですが、そんなに冷静になれない時もありで。

 

逆に苛立つ相手(主人ですが)の命式を覚えているので「そういうところよ。。だから日主己の食神ばっかの、マイペースの。。。」と、頭の中で呪文が巡るのです。

私は主人に対して不満を持つと黙り込みタイプの妻なのですが、60歳にもなって全無視も大人気ない(まず大人じゃないですけど)と思い、ちょっと返事すると、それがまた返って「私被害者です感」に油を注ぐのですね。

 

ベランダで洗濯を取り込みながら、秋の綺麗な夕日に思うのです。

人はいかに、自分の感情で判断して、怒りや悲しみを勝手に自分で作っているかと。

心理学にABC理論というのがあります。Aは事象でCは沸き起こる感情です。Cの感情を作っているのはBの判断である、という理論ですポジティブに受け止めるか、ネガティブに受け止めるかで、事象の意味が変わってしまいます。

 

『命式』は事象です。勝手に判断を加えて、感情を動かしてはいけません。

いや、ここまでの人生、散々Bでネガティブな判断をしてしまいがちで、Cで苦しむ人間だったので、確かなAを、真実のAを、AだけのAを、知りたいと探し求めて、四柱推命に辿り着いたのです。

 

雲の切間に神秘的な光を放つお月様と側で格別に輝くお星様を見上げて、ため息ひとつ「お父さん、悪く思ってごめんなさい」と呟く私でした。