冬の夜のお弁当作り 〜その2〜

今週のお題「お弁当」

 

※その1  の続きです。

 良かったら、その1からお読み下さい。

 

気を取り直し、私とK先生はそこから急いでおかずを作って、無事全員に弁当を持たせた。

 

 

 

その夜。また私たち二人は調理場に集合し、つつがなく、粛々とおかずを作り終えたのだった。

問題は、ねずみ対策だ。その夜は、昨夜のザルだけでは不安だったので、これまた業務用のまな板 30cm✖️50cm 厚さ5cmをその上から乗せて、これでよしと解散した。

 

。。。。

翌朝、まさにデジャブのように。。。。ザルとおかずが飛び散っている。昨日と違うのはでっかいまな板が、どけられている、さらなる恐怖だ

 

 

 

その夜も、私たち二人はめげずにおかずを作って、ザルをした。そしてその夜は、まな板を一気に3枚乗せる事にした。

  

しかし。。。。

私達は負けた。その得体の知れない、もはや小動物と言えるのかもわからないねずみに。。。。

 翌朝もおかず達は無惨に飛び散っていた。まな板3枚と一緒に。

調理台に足跡を残して、ニヒヒとほくそ笑む、巨大な小動物

 

 

もう私達の手には負えないと思い、上司のO先生に一部始終を話して指示を仰いだ。

O先生は「よし、今夜俺が見張っておく」と言ってくださった。

 

***

 

翌朝、久しぶりに10人分のお弁当のおかずの平和が守られた。

 

O先生は、刑事物に出てくるときの舘ひろしみたいな笑みを浮かべて私たちに言った。

「犯人わかったで」

「えっ、まさか子どものいたずらですか?」

「いや、猫だった。排水のところにほんのちょっと打ちつけが壊れた箇所があって、そこから体を細〜くして入ってきよった。」

 

と言うことだった。

ドヤ顔で話す時のO先生は、少年のように嬉しそうで嫌いじゃなかった。

 

 

 

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あの頃、スポーツイベントとかあると、女子職員は夜明けとともに調理場集合で、大量におにぎりを作った。数時間前まで当日分の洗濯を終えて、仮眠程度に寝る。それが雨天順延とかつづくと、調理場では全員えへらえへらとつまらない事にも笑えてくる変な人になりながら、黙々とおにぎりを握った。

 

 

先日アマゾンプライム篠原涼子の『今日も嫌がらせ弁当』を見た。

年頃の子には、確かに口で会話するより、お腹、舌、かも知れない。

お弁当が、綺麗に空になって戻ってきたら、顔でふてくされてても、今日もオールオッケーの返事なのかも知れない。

 

 

私は、まさにヤンキー男の子ばかり相手にしていたので、何も言わなくても、外で一緒におにぎりをガツガツ食べる姿は、母代わり冥利に尽きると言うものだった。

 

***

 

読者様のM様、子ども達に美味しい弁当作るんだぞ、なんちゃって。