ちょっと変わった父ですが。
今週のお題「告白します」
これが私の父です。
「これが、私の両親です」と紹介すること自体
若い頃は 結構勇気のいる告白だった。
なんせ仙人のような、構わない格好をしている。
私が父を紹介するなら
まず、笛と太鼓ができることからだ。
出雲の神社の神主をしていた父は
出雲神楽のお囃子担当で、
お祭りの神楽の舞台で演奏していた。
その音色とリズムは奥が深い。
間近で聞くと、身体の芯まで響いて来る。
山の上の神社から聞こえてくると
なんとも言えない郷愁が、集落を包む。
村の鎮守の神様の〜♪♪
そして祭から戻ると、
父は水色の袴と白い着物の装束を脱ぎ散らかす。
それを拾っては、こっそりと自分で着てみるのが
小学生の私のちょっとした楽しみだった。
ある年、私達一家の旅行に両親を誘った。
高速に乗ると、雨の勢いが激しくなった。
出発前、主人がフロントガラスに雨よけワックス
を塗っていたので、雨粒が弾け飛ぶ。
それを見た母が
「Tさん(主人)も呪術を使われますかね」
と感心した。
この発言には聞き逃せない点が二つある。
一つは
雨粒が 呪術で飛んでると認識してること。
もう一つは
自分の旦那も 呪術を使うと認識していること。
その呪術とは、気功を使うということだった。
全くの独学だけれど、指の先から怪しげな気を
放てるらしい。
触ってもらうと楽になる、と近所のおばさん達にも
好評だったそうだ。
ただ、今は歳を取り、
気を出すことにパワーを使えない。
背中の曲がった母に、喧嘩した時だけ
仲直りとして背中に愛のパワーを注入するらしい。
私は、哲学や宗教思想に興味を持っている。
けれど、身近な人にそんな話をしても
大体めんどくさがられる。
父は、その点において話を聞いてもらえる人だ。
というか、父の通った後を私がたどっていること
に驚く。
父は90歳にもなるのに、YouTuberがあげているような本を
もっと前から読んでいる。
娘(父の孫)と一緒に感心した。
私が四柱推命を学んでいた時も
「いつか、断易もやりたいんだ」
と話したら
「ゼイチクー、サンギー」
と、言いはしないが、ドラえもんのように
ポケットから、ではないが、出してきた。
昔少しやったそうだ。
筮竹と算木を、私が譲り受けた。
父は今腎臓がんを患っている。
でも、病院へは検査に行くだけで
治療は自己流で頑張っている。
病院での数値が良くなる度に
流石だね、と思っている。
親は、いつか私も行きつくところを
身をもって見せてくれている。
気がつけば、どの時代も、
あー両親もそうだったのかな、と思う。
だから、いつの時も、
その年齢を逞しく生きている姿を見せてくれると
嬉しい。
何より、父に対して娘からの告白になってしまった。
ちょっと褒めすぎかな。