池江璃花子さんから学ぶこと
先日の水泳池江さんのオリンピック代表内定の快挙のニュースに、私も目頭が熱くなった。
満面の笑みと、感激の涙いっぱいで気持ちを語っている池江さんの姿に、去年の今頃も「パリ五輪が一番の目標」と語って、卒業して行く子ども達に『諦めない』を教えてくれたんだよなぁとしみじみ思い出した。
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卒塾生を送り出し、夏が近づくと、中3英語の授業は例年通り『現在完了形』に入った。『have+過去分詞』の文法。子ども達の顔にみるからにハテナマーク❓❓が点灯するヤツだ。
私のポリシーとして、説明だけして「これは覚えてね」と子ども達に丸投げ的なことは意地でも言いたくない。家庭学習で覚えなければどうしようもないことは山程あるので、教えるプロが目の前に居て、覚える、で済ませたくない。「納得するまで質問して来んかい!」と言う私の表情がよっぽど怖いのか、子ども達は若干引き気味だが。
『have+過去分詞+回数』で『今までに◯回〜をしたことがある』と訳すことを理解してもらいたい。
「人の経験は、『いつ〜をしました』と話すなら過去形だけど、経験値として身につけていることを語るなら、その経験を◯回分haveしてるってことでしょ。」
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「be動詞で語る時
- 私は生徒です。
- 私は背が高いです。
- 私の兄は高校生です。
自分の存在を説明するようになるわけ。
もしみんなが、悲しい時
- 私は悲しいです。
と言ってしまえば、まるで自分の存在の形容詞が「悲しい」になってしまう。
でも、英語にはhaveという便利な動詞があるのね。
これは、私のイメージでネイティブの人がどう言うかわからないけど
- 私は悲しみを持っている
- 私は喜びを持っている
って考えたらどうだろう。
水泳の池江璃花子さんは、これがとても上手にできる人なのだと、私は思うな。
彼女は、白血病と戦って、今苦しく、悲しい状態を身につけている。
けれど、手放すことができると、努力している。
逆に、オリンピックチャンピオンの名声も、身についているだけ。
- 私は、オリンピックチャンピオンです
って、be動詞で言い切っちゃたら、チャンピオンでなくなったら「終わった」になっちゃうでしょ。池江さんは、チャンピオンの名声を、いい意味で身につけたり、外したり。そこにこだわってなかったんじゃないかな。
be動詞の自分。
存在として根幹の自分は、本当にシンプルでいいんだよ。」
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ご想像通り、子ども達は口ぽかーんだった。でも、子どもはスポンジのように柔軟に吸収する。少しずつ逞しくなっていく。
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私の耳鳴りも、慣れるまでは、この世の終わりの気分だった。確かに周りの人に何を言って貰っても、耳鳴りの辛さはわからないでしょ、っと泣いていた。
前回記事の2割の女性の気持ちだった。
時間が経ち、耳鳴りの良い日、悪い日がわかるようになると、私は『私は耳鳴りの人』じゃない、と思えるようになってきた。
『耳鳴りの人』と『耳鳴りがある』この言い方の違いで少し気分が軽くなる、という言葉のマジックに騙される楽天さも、時には武器になるかもしれない。