魂の計画
最近読んだ本の中で、一押しの一冊です。
全く自覚症状のない、ある時に、
いきなり肺がんステージ4を宣告された著者の、闘病の記録です。
Amazonのレビューを見ると賛否あるようですが、
それは大切な家族をガンでなくされた方からすると、
著者の経験はラッキーだったのでは、と思われる点と、
治療に関して、良い結果をもたらしたもの、芳しくなかったもの、
病院の名前まで実名で赤裸々に語られている、
他ではあまり見ることのない斬新さからなのでしょうか。
いずれにしても、ガンの宣告から死を覚悟し、
そこから生還した当事者の言葉は、圧倒的な重みがあり、
心に響きました。
当時、思い悩んでいた私は、宗教や哲学書を読み漁り、
その思想を理解し楽になりたいと思うのですが、
大きな錠剤がそうであるように、先人の偉人の言葉は、
なかなか飲み込めませんでした。
しかし、この本は、それらの偉人も言っていたことを、
スーッと腹に落とし込ませてくれました。
魂の計画
この本のキーワードです。
著者の人生で、著者の身に起こることは、全てこの世に生まれる前に、
自分で計画していたことであり、越えられ苦労はない、と言う考え方。
私は、学習塾を営んで25年になります。
その間にたくさんの子ども達と出会い、見送って来ました。
子ども達からは教わることの方が多く、
その出会いの一つ一つに感謝をしています。
20歳で自死を選んだ子がいました。
それは、あなたの魂の計画だったの?と問いかけたいくらい、
突然のことでした。
その頃の私は、義母の介護や、塾の先行きのことなどでストレスを抱え、
自律神経のバランスを崩して、ボロボロでした。
左耳がまともに聞こえなくなり。
そんな状態で、14年間付かず離れず話し相手になってきた彼の、
あまりの突然の死と向き合うのは、はっきり言って怖かった。
しかし、彼の通夜は、愛のある通夜でした。
人の死とは縁遠いはずの若者たちが、
中には黒いパーカーで、たくさん駆けつけていました。
彼の優しい人柄を映していました。
会場の高いところから、
彼の「みんな悲しまないで」という声が聞こえて来そうで。
あたりを包んでいたのは、彼の愛なのか、彼を愛する人たちの愛なのか。
そして法話も心に残る良いお話でした。
家に帰り、たまたま午前中買っておいた本を読み始めると、その本の中に、
あの法話と同じお話が出できたのです。
以来、私は禅に興味を持ち、般若心経、哲学、と導かれるように、
学びを進めていきました。
求める心が次第に満たされて、耳も耳鳴りと上手く付き合えるように
なっています。
私が、人の死を語ることなんて到底できないことはわかっています。
ただ、彼がなぜ自死を選んだのかはわからないけれど、20年の生の中で、
自分を愛している人達に向けてのメッセージをしっかりと残し、
「強く生きる」ことを逆に伝えて旅立って行ったように思えるのです。
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